一般企業の中のIT部門でLANでもWebや、メールでもない仕事は一般に理解されない。。。そんな生活の一部を、「物語」風に紹介したいと思います・・・カテゴリは「小説 ITなお仕事」です。
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もし、あなたが自分の企業の業務を全て詳細まで調べ、体系化しドキュメントを作成しろ,,,と言われたらどうするか?大きな企業であればあるほど、「それは大変」と思うだろう。同じ事を赤の他人のコンサルがやるのだと思うと、時間がどれだけかかりそうか想像がつくのではないだろうか。提出された資料を理解するだけではなく、それが本当か調べ(インタビューしたり、色々な資料を集め)検証しなければならない。
1ヶ月?3ヶ月?そして何人でその作業を行うのか。1ヶ月働くことで200万会社に稼がせるコンサルが5人でチームを組んで3ヶ月常駐されてしまうとそれだけで3000万。プラスコンサルとしてのノウハウが値段に加算される。
その企業が機能していれば、少なくとも社外の人より把握し解決方法を持っている人間は社内にいるはずだ。しかしどうして多くの企業がコンサルに丸投げし、巨額のお金を払い、週刊誌で時々話題になるようなシステム投資の失敗を犯すのか?
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大手コンサルP社の社員3名はある日知人の会社を訪れた。知人は既に部長級であったが、社が近々コンサルの導入を考えているので、自分も予習をしたいと相談した。発注までいくかどうか、また業者決定に関わる事になるかわからないが、まずは営業という感じで、うちの現場の人間と問題のない範囲で話をし、どのようなソリューションを提示できるものか説明してくれないか・・・。
彼ら3人は”現場の人間”と紹介された部長級のシステム担当者と彼の部下入社7年目の中堅と会った。この企業では赤字が続き、システムでそれを解決したいと漠然と経営者が思っていた。しかし同時にシステム部門をリストラ仕様という希望もあった。システムを外部に依託し、一新・効率化し、リストラする。。。流行のプランだ。この企業も、
①本当の問題点がシステム以外にあり(業績悪化とか赤字とか)
②本当の問題点の議論には消極的(部門対立?)
③よって一番多くの社員が縁が薄いシステムで解決しようという甘い期待を描いている、、、、
という状況のように見えた。
P社のコンサル3人は2回の対談を終えて言った。
「弊社の出来る事を言います。弊社がご提供するのは新システムとは限りません。我々は企業の医者だと思ってください。ご本人では気が付かなかったり、見失いがちな問題点・解決方法を探すお手伝いをします。まず御社の業務フローを整理します。その中でどこに無駄があるか、どうすれば効率が良くなるか、また将来の業務発展に貢献できるかを考えます。その上でシステムを新しくしないこともあります」
入社7年目のシステム担当者は深く頷いたが、こういうもっともなサジェスチョンに耳を傾ける奴は社の幹部にはいないだろうなと思った。高価な化粧品のほうが売れるのと同じで、高いお金を払って面倒なことを引き取って欲しいとう程度のアサハカな考えなのだ。本当の問題点や無駄を除去したいと思っていたら、コンサルに相談はしないだろう、、、、とため息をついた。 (続く)